連帯責任、とか

「連帯責任」と聞くと思い出す光景がある。

小学生の時、給食はいつもの机を並べ替えて６人程度のグループになって食べていたのだが、グループ全員が食べ終わらないと、食べ終わってる人も遊びに行ってはいけない、という謎のルールがあった。

元々食べるのがゆっくりな方だった私は、いつも早食いの男子たちに面倒くさそうな目で見られていた。それが一番苦手だった(なのに頻繁に出る)「きゅうりひと塩」が出る日は最悪だ。あまり板ずりもされていないイボイボのきゅうりに軽く塩を振っただけのものが一本丸ごと、無造作にアルミのショックに入れられているのを見て、永遠に食べきれる気がしなかった。

結局給食時間の後の昼休みが終了しても食べきることができず、「あー〇〇のせいで遊べなかったよ」という他のメンバーの冷たく恨めしげな視線。30年以上経っているので今の日本の小学校が変わっていると願いたいが*1あれもいわゆる「連帯責任」だったのだろう。今だになぜ「給食を食べ終わらない」が「連帯責任」になるのかわからない。

といってもここまでは、実は本文とはあまり関係のない話です。

先日TOKIOの山口くんが、未成年の少女を家に呼び出し、飲酒を強要・性的な接触を迫ったとして事件になったのはいまこれを読んでいる方なら皆知っていることだろう。
普段はあまり芸能ネタが話題にのぼることのない私の職場でも休憩時間に「記者会見、見た？」という話が出て、世間一般の関心の高さを感じた。


山口くんの記者会見の後、同じTOKIOメンバーの国分くんが自分がMCを務める番組「ビビット」で今回の件について「(TOKIOの)連帯責任である」と言っていた。「連帯責任」という言葉にいいイメージを持っていなかった私は「ん？なんで？」と思った。

今日になってKAT-TUNの中丸くんが「シューイチ」で「グループでこういうことがあるとグループの仕事が見直されて自ずと連帯責任になってしまう」「グループに所属して利益を受けているのならマイナス面は知らないというのは違うのではないか」と発言していた。

たしかにジャニーズは殆どの所属タレントが「グループ」で活動している。「グループ」としてのイメージを作り上げてそれを仕事につなげている以上、お互いに「良いイメージ」を保ち続ける努力は必要かもしれない。
でも、今回の場合、他のメンバーは山口くんがアルコールによる問題のせいで病院にかかっていることすらも知らされていなかった。被害を受けた女子高生と出会ったのは山口メンバーの個人仕事の時のようだし、40代の男性たちが仕事時間外の私生活をお互いに監視しあうというのはちょっと無理があるような気がする。これは自分も40代だから思うのだが、20代や30代前半ぐらいまでのグループのメンバー同士の横のつながり、お互いの私生活への足の踏み入れ方と、40代のそれとはどうしても違ってきてしまうような気がするのだ。

だからそういう意味で、山口くんの状況を把握できていなかった他メンバーに「責任」があるかというと個人的には「？」と疑問に感じてしまうのだが、「自ずと連帯責任」はまさにその通りいう気がしてしっくりきた。

ヤマト運輸のCMで演じていた一生懸命でさわやかな仕事人たちのイメージ、山口くんのひとりのせいで崩れてTOKIO５人がCM出られなくなってしまった。SUZUKIのCMの親しみやすいお兄さん達のイメージも、山口くんのせいで崩れてCM流せなくなってしまった。ジャニーズの「運命共同体」たちは望むと望まざるとにかかわらず「連帯責任」を取ることになってしまう。

土曜朝の「週間ニュースリーダー」ではリーダーの城島氏のコメントを聞くことができたが、城島氏は山口くんに「裏切られた」と言っており、この一連の事件について山口くんに対してとてもご立腹の様子だった。「アルコールのせいなら仕方ない」といった世論が強くなりそうな中で、山口メンバーを突き放すような姿勢を見せたリーダー、これもまた納得いくものだった。


この事件に関しては人によって意見はそれぞれだと思うし、皆色々な観点や視点から見ているし、色んな意見があっていいと思う。そして違う意見の人を攻撃したりすべきものではないと思う。


ただ、普段職場では優しくて感じがよく、しかも自分が目指す芸能界でトップの位置にいる自分の親ぐらいの年齢のおじさんが「家で話をしない？」と誘ってきた時に、性的な対象として見られていることを見抜けなかった16歳の少女を世間が責めるのは可愛そうだなと私は思う。

むしろ山口メンバーは、キスされただけで逃げてくれたその子に感謝した方がいいんじゃないか。その子がもっと進んだことまで受け入れてたら、山口くん、もう完全に再起不能ですよね。芸人で「同意の上」で行ったという狩野英孝だって未成年との淫行ですっかり露出が減ったし。極楽とんぼの加藤も、イメージ悪すぎてもう表舞台には出てこられないでしょう。

山口くんは元のイメージが爽やかすぎたのでその分イメージダウンは大きいけど、キスより先の性行為まではいっていない。今後周りの協力を得て、施設等に入りアルコール中毒を完全に克服すれば、講演活動や克服者としてのコメンテイター等の仕事もできるのでは？

時間はかかると思うけど、見守りたい。

(ただし、例えばもし山口世代の自分の夫が、もし被害にあった子と同じ世代の女の子に酔っ払ってチュー強要、とかって知ったら、私怒りと絶望で夫を刺しにいってしまうかもしれない。と思った。そして山口くんの子供達もかわいそうだ。母親と離婚しているとはいえ父親は父親だ。どんな顔して学校に行けばいいんだろうと思うと胸が痛む。

と最後に付け加えておく。)

*1:少なくともうちの子供達の小学校にはそのような制度はなかった。